大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(う)86号 判決

原判決は判示第一において被告人は焼酎約四斗を製造しと認定し、第二において、この焼酎の内約一斗に水及び味の素外数種の薬品を加えて約二斗一升の合成清酒を製造したものと認定し各別に犯罪の成立を認めていることは所論のとおりである。

しかし、原判決が証拠に引用した被告人に対する大蔵事務官の第三回質問てん末書によれば、被告人には製造した酒は全部これに薬品を加えて合成清酒としてから販売する目的のあつたことが認められると同時に、合成清酒を製造するにはまず焼酎を製造し、これに加工して合成清酒とするのが通常の製造方法と認められるので、たとえ酒税法においては、酒類製造の既遂罪は製造者が究極において完成することを目的とした酒類でない酒類であつても、同法にいう酒類の製造を完成すれば酒類製造の既遂罪を構成するものであると解しても、少くとも製造した酒類の一部に加工して製造者が究極において完成する目的の酒類の製造を完了した以上は前の酒類製造は後の酒類製造の過程行為であつて別個独立の酒類製造行為とは認められず、これらを包括して後の酒類の製造行為と認めるのを相当とする。

しからば原判決が判示第一において焼酎約四斗を製造した事実を認め、更に第二においてこの約四斗のうちから約一斗をとり出しこれに加工して合成清酒を製造した事実を認めたことは判示第一において認定した約四斗のうち約一斗については合成清酒製造の過程と認められる焼酎の製造行為までも独立の犯罪と認めたものであるから、原判決認定第一の事実は明らかに事実を誤認したものと認めなければならない。しかしこの誤認は焼酎約三斗を製造したという事実に対し、約四斗を製造したと誤認したにすぎないものであるから、判決には何等影響を及ぼすものとは認められない。従つて論旨は結局理由のないものである。

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